大阪高等裁判所 昭和26年(う)3280号 判決
しかし、被告人が業として医薬品なる覚醒剤を製造し、且これを販売した薬事法違反の各事実を自白している事案において、他の証拠によつて認定した被告人が覚醒剤を製造し現に手許に存在しないという事実は販売の事実を推認せしめる情況証拠として自白の補強証拠たり得るものと考える。しかも、所論金銭出納簿(証第一号)は共犯者たる原審相被告人高炳彩が本件事件発覚後これに関連して作成したものではなく、それ以前に事件に関係なくその都度逐一詳細に販売先数量等を記入したものであるから、相被告人の自白に準ずべきものではなく刑事訴訟法第三二三条第三号にあたる書面として独立の証拠価値あるものと解すべきである。仮りに所論のように自白にあたるとしても共犯者の自白は相互に補強証拠となり得るものであるから、原判決は本人の自白を唯一の証拠として被告人を断罪したものというべきではない。いずれにしても論旨は理由がない。